まちとひと 美術の学校:実践編

このプロジェクトについて

「まちとひと ─美術の学校:実践編─」は、「移動式画廊で、まちにアートをインストールする」をコンセプトに、山形駅前大手門通りすずらん商店街(以下、すずらん商店街)を舞台にし、ホワイトキューブから離れた空間で、移動式のアート展示・展覧会を模索・実験するプロジェクトとして活動を進めてきました。2021年8月から受講生を募り、10月から11月まで月1、2回のレクチャーを行い、受講者各自がテーマを定めて展示に向けて企画・制作を行い、12月に成果発表展として受講者は移動式画廊のギャラリーオーナーとして街にくり出し、街ゆく鑑賞者に作品やアーティストを紹介していきました。

gallery 01

中谷桃子 (gallerist) × 吉村尚子 (artist)

「街に潜る」をテーマに、暗く人気のない場所でダンス、光、音楽の三要素によるパフォーマンスを展示。成果展当日の雪降る夜に、楽器による演奏、詩の朗読、光による演出を軸にしながら、即興性の高いパフォーマンスを街にインストールした。

gallery 02

菅野光子 (gallerist) × 青木みのり (artist)

「噴出する・はみ出す」をテーマに、日々の暮らしを送る街とそれを取り巻く山々の動きについて目を向け、思考をめぐらす展示。商店街の各店舗とのコラボレーション展開も実施し、スペースさえあれば、どこでもギャラリー空間が展開可能な仕組みを作り上げている。

gallery 03

工藤裕子 (gallerist) × 増田尚紀 (artist)

「うつくしさ×あたたかさ」をテーマに、暮らしの中に根差した山形鋳物の「あたたかさ」を、実際に使ってもらうことによって感じてもう展示。すずらん商店街の各店舗(名月園茶舗[日本茶販売店]、Day & Coffee[コーヒースタンド]など)とのコラボレーションを積極的に展開した。

gallery 04

渋谷剛史 (gallerist) × 青野文昭 (artist)

アーティスト 青野文昭の作品における「復元・なおす」というテーマ性と、山形県民としてすずらん商店街の認識を関連付ける展示。市民参加のギャラリストも作家であることから、単なるギャラリーではない、時間と場所性の高いパフォーマンス・エンターテーメント性ある展示を展開。

gallery 05

瀬戸あかね (gallerist) × タノタイガ (artist)

アーティスト タノタイガの作品《タノニマス》を、すずらん商店街で展開するワークショップ展示。お面というモチーフが商店街に「お祭り」感を醸成し、通りに賑やかさを演出していた。今後予定されている商店街の「歩行者天国」などのイベントとの親和性も改めて確認された。

gallery 06

石川由美 (gallerist) × ミシオ (artist)

2021年11月に実施された、アーティスト ミシオのライフワークである「路上のゴミに顔を描く」の山形滞在制作による新作展示。移動式ギャラリーの躯体である自転車の下には、制作場所を示した地図のドローイングも展開。作品と街、そしてギャラリーとの繋がりを綿密に構築している。

gallery 07

倉持希 (gallerist) × 藤原泰佑 (artist)

アーティスト 藤原泰佑による山形とテーマにした作品の展示。アーティストによる街の風景画を街の中にインストールしていく試みを展開することで、街の中に街の絵がインストールされ、展示空間である画廊が移動することで、Googleマップに代表されるデジタル地図への批評性も感じ取れる展示となった。

guest

谷村メイチンロマーナ (artist)

ゲストアーティストによる展示。自転車をモチーフにしたカラフルな作品群が、成果展当日の拠点となったすずらん商店街 土井ビル1Fのショーウインドウを賑やかに演出。成果展全体の雰囲気を彩りを添えた。

lecturer talk

関本欣哉 (main lecturer) × 有馬かおる (guest lecturer)

いままでアートを鑑賞する立場だった受講者一人ひとりの中に、作家や作品(=アート)を「自分ごと」として見直していく視点を生み出し、街にアートをインストールしていくきっかけが生まれていくことを期待したこのプロジェクト。プロジェクトの企画立案に携わったメイン講師の関本欣哉氏(ギャラリーオーナー)と、宮城県石巻市街地にアートをインストールする実践を進めているゲスト講師の有馬かおる氏(アーティスト)に、街とアートの関係についてお話を伺いしました。

関本欣哉×有馬かおる 対談をよむ